vol.120 冬仕事【前編】
2025/3/17

皆様こんにちは。清水園でございます。
本日お伝えして参りますのは、’冬仕事’についての内容です。今回も、前編・後編にてお送りいたします。
冬仕事といえば、雪吊りや冬囲いが代表的な作業です。雪吊りは、積雪の重みで木々の枝が折れないように支えるための伝統技術であり、冬囲いは植物を寒さや害虫から守るために施されます。特に、越冬できない虫たちは暖かい場所を求めてやってくるため、冬囲いの一環として「コモ巻き」を行います。用途としてはコモ巻きだけでも十分ですが、少しでも美しく仕上げるために、見た目にもこだわっています。
雪吊りや冬囲いは日本全国で行われていますが、近年では実施する地域が減少傾向にあります。50代以下の世代で冬囲いの技術を持ち、実際に作業をしている人は、数%に過ぎないのではないかと感じます。仕事として冬囲いに携わる機会がなければ、藁を扱い練習する機会もなくなり、技術を継承できる人がますます減っていくのが現状です。
冬仕事の中でも、飾り結びは縄を引っ張ったときに抜けなければ問題なく、人によって様々な結び方があるため、個性が出るのが面白いところです。また、低木の雪吊りには実用的な意味だけでなく、装飾としての役割もあります。名目上は、積雪による枝折れを防ぐために施しますが、実際には庭の景観を美しくする目的で行われることが多いです。
玄関前に設置される「わらボッチ」もまた、装飾の一環として作られます。東京の大名庭園では今も多く残っており、比較的目にすることができます。一方、東北地方では近年、わらボッチを作る機会が減り、目にする機会も少なくなってきています。東北地方には大名庭園の文化が少なく、特に仙台市には元々存在しなかったとされています。仙台といえば伊達政宗が広く知られていますが、彼は大名庭園を築かず、仙台城の下には練武場を設けていたため、日本庭園文化が根付くことはありませんでした。こうした文化の違いは興味深く、伝統が途絶えることなく後世に受け継がれていくことを願っています。
次回は、冬仕事の中でも特に手間のかかるソテツの冬囲いのお話からお送りしたいと思います。
後編をお待ちくださいませ。