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vol.120 冬仕事【後編】

2025/3/31

皆様こんにちは。清水園でございます。

本日は、’冬仕事’についての後編です。

冬仕事の中でも特に手間がかかるのがソテツの冬囲いです。ソテツは基本的に温暖な気候・土地の木ですので、保護のためにも藁巻きは必要です。毎年木の形に応じて方法を変えながら巻いていくため、作業は非常に大変です。ソテツの冬囲いの下地を作るためには、竹を割る作業が欠かせません。竹を割った後、節を取り除き、約5mm~1cm程度の幅に整えていきます。この作業には時間と手間がかかり、職人の技術が求められます。

雪吊りの本来の目的は、雪の重みで枝が折れないようにすることです。しかし、最近では剪定をせずにそのまま雪吊りを施している公共の松をよく見かけます。基本的には、事前に剪定を行い、枝葉の量を減らしてから雪吊りをすることで、雪が積もるのを防ぎ、枝が折れるリスクを減らすことができます。

赤松の場合、皮むきの工程を施すかどうかで木の健康状態が大きく変わります。皮むきは、害虫が付着するのを防ぐために重要な作業であり、見落とせない工程のひとつです。

近年、造園業界では冬仕事の機会が減少し、冬囲いや雪吊りができる職人の数も減ってきています。私たちは伝統や文化を守るために冬仕事に取り組んでいますが、これらの技術を依頼してくださるお客様も、経済的な余裕がなければ発注が難しくなります。そのため、今後さらに依頼が減少することが懸念されます。

しかし、こうした技術や文化は一度失われてしまうと取り戻すことが難しくなります。だからこそ、私たちは職人としての誇りを持ち、伝統を次世代へと繋いでいきたいと考えています。

伝統の継承と発展のために、これからも精進してまいります。