コラムColumn

vol.100 家庭

2024/5/27

皆様こんにちは。清⽔園でございます。

代表はもともと⼤⼯・設計⼠を志していた中で、造園の仕事をスタートしました。

「庭は私が死んでも残る」⾃分よりも寿命の永い⽯と対峙しながら、お客様の求めるコンセプトに添い”居⼼地のいい”庭づくりを⼼がけています。この”居⼼地の良さ”は、本⽇お話する「家庭」、代表が⼤切にしている想いの⼀つです。

代表の⾃宅は築100年の建物を改装し、その主庭はかつて初代が⼿掛けたものでした。築100年の建造物を改装するとなると多額の費⽤がかかるため、多くの場合建て替えてしまうことがほとんどです。それでも代表が「改装する」事を選んだのには、建物と庭との深い関わりにあります。

その⼀つが「⽬線の⾼さ」。⽇本庭園を鑑賞するのは基本的に縁側や屋内からですが、座布団に座り庭を鑑賞するのか、また椅⼦に座り鑑賞するのかでは、庭の⾒え⽅が全く異なります。現在の建築法ですと、改築の際床は既存の位置よりも⾼く造らなければならず、視点が⾼くなれば、⾜元が⾒えなくなってしまう為に庭園が狭く⾒えてしまいます。

例え全てを建て替え美しい外観の建物であったとしても、既存の美しい庭の⾒え⽅が損なわれることは、とても残念なことです。代表は初代の⼿掛けた庭と建物の相性を考えた時に、それらが最善の形で引き継がれるのは「改装する」という⽅法と考えました。どれだけ費⽤がかかったとしても「家庭は毎⽇帰るところ」。その庭はやはり「居⼼地のいいところ」であるべきだし、それは⾃⾝の家をはじめお客様のお庭も同様で、「⾃分はそんなお客様の⼈⽣を担う仕事をしている」と代表は語ります。

切っても切れない建物と庭との関係…それはまさに⼈と⼈とが寄り添い⽀え合う「家庭」であり、庭は⽇々の暮らしや気持ちを豊かにしてくれる重要な存在です。造園は「お客様に夢を与える仕事」であると同時に「居⼼地のいい”家庭”を作る仕事」である。代表との話から、改めてそのように感じました。

「もともと負けず嫌いな性格で、正解や優劣のない創作の世界だからこそ悩むことも多いけれど、”⽯積みでトップになる”と取り組んできました。野⾯積み寄りの崩れ積み…と私は呼んでいるのですが、⾃然さを出しつついかに美しく早く積めるか。⽯と⽯の相性を⾒る作り⼿としての感覚は、⾃信があります。」遠くから⾒ると真っ直ぐ連なり、近くで⾒ると⼒強い陰影の美しさが際⽴つ⽯積み。こういった伝統や技術を次の世代に引き継ぎ残していく担い⼿は必ず必要で、「代表(三代⽬)にとっての使命と⾃負している」との事。伝統を継承しながらも時代に応じ成⻑し続ける、そのような姿勢を清⽔園は⼤切にしています。

これからも清⽔園は、施⼯事例をはじめ、こういった代表の想いを通して「清⽔園」や「造園」に関する事柄を皆様へお届けできたらと思っております。どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。