コラムColumn

vol.95 泉区K邸2期工事

2024/3/18

皆様こんにちは。清水園でございます。

本日お伝えして参りますのは「泉区K邸2期工事」。以前、当コラムでもご紹介しました「泉区K宅植栽」の2期目にあたる内容です。

「こちらのお客様は、いわゆる‘本物’を好まれその良さをご存知の方。建物に使われる材木をはじめ…そもそも弊社にご依頼をいただいたのも‘ダイスギを持っている造園家’だったからという理由もある程です。純和風建築に見合うお庭の作庭を、引き続き行って参りました。」

1期目の工事を終えてから約半年後、2期目の着工が開始されました。

「まず、アプローチから玄関に向かって敷かれていた‘枕木’。こちらを‘御影石’と交換致しました。枕木は元々、電車の線路の下に敷く硬い木でレールが下がらないようにする為に用いられていました。およそ20年前、経年や時代の風潮からそれらを一斉にコンクリートと入れ替える際に、ガーデニングの流行も伴いこういった個人の庭へ枕木が再利用されていたのです。」

今回の2期工事で古くなってしまった枕木は御影石に姿を変え、白く明るい印象へと様変わり致しました。御影石は一つ一つ「ビシャン」と呼ばれる加工が施されており、ハンマーで賽の目のように表面が刻まれることで、滑り止めかつ古材も新品のように美しく生まれ変わっています。

「板石は雨水マスの点検の際に外せるよう、セメントで固めず砂で突き固めた状態で仕上げました。また、玄関までというのは、庭と違い毎日歩きますから…歩きやすさを大前提に設計する必要がございます。飛び石もそうですが、歩きやすく凹凸がないよう重視し、今回ですと蹴上を5cm・10cmと上げて階段状に仕上げました。」

一見すると「スロープの方が歩きやすいのでは?」と思われがちですが、実はスロープで高低差があると雨や雪の日に滑ったり、油断して意外と足を取られてしまうのだそう。むしろ5〜15cmの高低差の階段の方が歳を重ねても歩きやすく安全との事。

「また、今回の工事で施主様も私も水鉢から駐車場までの間に川を作りたかったのですが…敷地幅が1m50cm程度しかなく、植栽帯を作るのもやっとの状況でしたので泣く泣く水を流すのは諦め…玄関前に水鉢のみ設置致しました。この水鉢は自然石を使用しており、実際に水を流せるようになっております。違う現場で伐採の際に出たユニークな形の木材をチェーンソーで加工し、そこに水道パイプを入れてございます。通常、こういった水鉢には竹で水を流す事が多いのですが…自然石との組み合わせでオブジェのような木が非常に印象的な仕上がりとなってくれました。」

水鉢に使用する石の候補には、この自然石よりも一回り小さな御影石の水鉢もあったそうなのですが…施主様はこの自然石一択。川を作ることは出来なかったものの、遊び心の効いた水鉢はとても個性的で存在感がございます。

「水鉢の周りの植栽帯には10〜20cm程度しか幅が取れなかったものの、シラカシの苗木・クロチク・アセビ・シダ・モミジ…なるべくバリエーションを豊富に植栽致しました。育ちボリュームが出てくれば、こちらもより趣のある仕上がりになってくれることと思います。」

2期工事を経て完成したお庭は、純和風建築に合う素敵な仕上がりと無事相成りました。