vol.143 美里町T邸造園工事【前編】
2026/6/17

皆様こんにちは。清水園でございます。
今回のコラムでは、「美里町T邸造園工事」についてお話しさせていただきます。
美里町T邸の造園工事は、当初からすべてが決まっていたわけではありませんでした。もともとは小さなお庭だけを施工する予定で、庭を作る場所にある木は不要なので伐採してよい、という話で決まっていたそうです。ところが当日の朝、「やはり木を切るのはもったいないので、全部移植して使ってほしい」という話に突然変わりました。その結果、当初は手をつけない予定だった場所にも新たに庭を作ることになり、計画そのものが大きく変わっていきました。庭づくりでは、こうした変更が途中で起こることが珍しくないのだとわかります。
このお庭には、以前に緑化フェアで使った樹木がそのまま植栽されていました。庭の形はまったく違っていても、別の場所で使われていた素材が次の庭へ引き継がれていくことで、新しい空間に別の物語が重なっていきます。緑化フェアで使ったお庭を解体したあと、その樹木を用いてすぐにこのお庭がつくられたという流れからも、単なる新設工事ではなく、素材を生かしながら庭を新しく再構成していく仕事だったことがうかがえます。
ただ、現場条件は決してやさしいものではありませんでした。敷地は狭く、庭の幅も十分ではなく、大きな木をそのまま植えることができない場所だったそうです。そのため、小さな木を植え、時間をかけて育てていくことを念頭に置きながら庭を構成していく必要がありました。しかも今回は、既存の木を一度掘り上げ、邪魔にならない場所に移植しながら主庭の骨格をつくっていく進め方になりました。広い敷地であれば、いったん木を別の場所に避けてから全体の骨組みを整えることもできますが、この現場ではその余裕がありません。限られた場所の中で、移植と施工を同時に進めていくという難しさがありました。
さらに、この工事では道路の拡張も重要なテーマでした。もともと敷地の道路幅が狭く、そのままでは使い勝手が悪いため、ブロックを壊して50センチほど道路を広げる計画で作業が始まりました。ところが、ブロックを解体し、境界まわりを整え始めたところで思わぬことが起こります。地面から水が湧いてきたのです。最初はそのまま進めようとしたものの、次第に水の量は増え、ついには現場がプールのような状態になってしまいました。原因を調べると、隣家から来ていた水道管に亀裂が入っており、それまで粘土質の土の中で見えなかった水漏れが、掘削によって一気に表面化したのでした。
水道管を修理し、ポンプで排水しながら工事を再開したものの、今度は次の日の大雨が追い打ちをかけました。せっかく整え始めた場所がすべて水没し、ポンプで水を抜いてみると道路は泥だらけになってしまいます。これでは雨が降るたびに泥が流れ出し、道路として機能しなくなってしまいます。ここで改めて浮かび上がったのが、庭における「排水」の重要性でした。見た目を整えるだけでは庭は成立しません。水がどう流れ、どこに集まり、どう抜けていくかを考えなければ、庭は機能しないのです。
後編では、この排水の問題に対して現場でどのような工夫が施され、庭としての機能をどのように立て直していったのかについて、さらに詳しくお話ししていきます。










