vol.12 宮城野区K宅造園工事
2021/5/4
皆様こんにちは。清水園でございます。 本日お話させていただきますのは、前回こちらでご紹介した、代表が「衝撃的な出会いだった」と語るカリスマ造園家’御手洗さん’からの、影響を強く受けた…という’遊び心のある庭’のお話でございます。
その舞台となるのは、代表の自宅から南隣のお宅・その東隣…という’お隣さん’のお庭。代表はそのお隣さんの土地を、かねてからいい土地だなあ…と考えていたそう。お写真を拝見すると、確かに法面が豊かでとても伸びやかな印象です。一方で、肝心のお隣さんご本人はというと「法面ばかりで駄目な土地を買ってしまった…」と代表にこぼしていたそうです。
お隣さんは青森ご出身でお庭にも興味をお持ちで歳も近いこともあり、代表とお庭の話をする中で「お隣さんですから…特別に」ということで、代表はその造園工事を破格の値段で受けることにしたそう。
「施工は平成25年に行われました。それまで、御手洗さんをはじめあらゆる造園家の方の刺激や影響を受けて現場に反映してきましたが、この現場では特に御手洗さんのスピリットが反映されているように思います。と申しますのも…予算が少なかった中で、手元の資材をなんとか工夫して活かす必要がありました。
御手洗さんの’ゴミを金にする’が、現場では常に頭の中にあったように思います。」
ほぼ廃材で制作した庭…お写真を拝見しても、そう言われなければ全く分からない程自然風景を感じることの出来る仕上がりになっています。
「本来であれば全て石で土留めしたかったところですが…下に石を入れ、上には他の現場でたまたま伐採していた松の木やウメの木などを乗せています。
同じ材料は二度と出てきませんので…めぐり合わせですね。経年で木が腐ってしまったとしても、下に石があるので崩れることはありません。そして、木自体も腐る頃には草も根をはり土留になることでしょう。
また、将来森になるような法面になるよう植栽を行ないました。法面が崩れないように苗木を使用し、常緑樹をたくさん植えて隣家からの目隠しにもなります…一方で、隣の芝生が見え借景になるようにもしてあります。テーブルなども、他の現場で出たものを修理して使用しました。
そして、偶然この現場の3ヶ月前に石に字の掘り方を習っていたので、この現場で初めて実践しました。あらゆる資材やタイミングのご縁を実感した現場です。」
代表曰く、御手洗さんのお言葉で「100点でなくても80点や60点くらいのものは庭師だったら作れる。」といったものがございます。
やらなければいけないところは、きちんとやらなければいけないが、我々造園家は大工や左官屋ではないから、完璧なものは出来ない。ただ、’なんとなく’でも庭になるんだから、問題ない。「ちょっとくらい肩の力が抜けたほうが丁度いい。」…それが、御手洗さんの導く’遊び心のある帰るべき庭’なのです。
これは、代表が最初に語ってくれた’家庭’の話に繋がりますが、やはり個人の庭は毎日帰る場所…肩の力が抜ける、安心感が必要です。御手洗さんから継承した代表にとっての’遊び心’は、かけがえのない家庭の持つ’安心感’へと還元されていくように感じます。