コラムColumn

vol.3 出会いと依頼

2021/1/25

皆様こんにちは。清水園でございます。2021年も皆様にとって心豊かな一年でありますことを、祈念致しております。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、新年初回の内容に関して代表と話しておりましたところ、「ある方との出会いと依頼」について書きましょうか、と貴重なターニングポイントについて語っていただけることとなりました。

昨年は、世界的な状況の中で全ての方々があらゆる変化に対して柔軟な対応を求められた事と思います。現在進行系でのそういった流れの中で、振り返れば1995年にいわゆる「インターネット時代」が幕を開けてからの情勢は、これまでにない速度で変化・進化を続けてきたように感じます。

「元々メールなども苦手で…」と語る代表も、とはいえその変化を柔軟に受け入れるべき…とその方法を模索していたと言います。「2019年に参加したセミナーの中で、今後のビジネスにおけるITの重要性についてのお話を聞いた時が、特に背中を押されたきっかけだったように思います。かねてから造園の技術や弊社での取り組みを伝え継承する方法についても考えておりましたが、現代の潮流に逆らってしまうとそれも難しくなってしまうかもしれない…と危機感を覚えました。」

現在のホームページやSNSへの取り組みについては、その手段の一つでした。また、一造園家としても代表は模索を続けます。自身の造園の技術やこだわり、取り組みを「新しい形で表現できる人」。コラボレーションの出来る人は居ないか…と考えたそうです。

そして、その「貴重なターニングポイント」は突然に訪れます。オンラインツールを経由しあらゆる地域の人々と知り合う機会が増えてきた中で、その中から一人コラボレーションの出来る方を選ぶことになりました。

「その方と初めてお話した時は違和感を覚えていたのですが、ある瞬間に全ての感覚・感性や違和感の’なにか’に気づいたときには鳥肌が立って、一週間はとてもテンションが高かったですね…必然の偶然とはまさにこの事、と実感しました。」

それは、関西を拠点にする「現代美術家との出会い」だったと言います。その時点では一緒に仕事ができるかの返事も聞いていないのですが、代表もオンラインツールに慣れて来た頃その美術家との面談が数回執り行われました。

「予定していた30分が、気づけば90分も話し込んでいました。お互いの仕事の話、価値観、異なる領域でありながらも、やはり互いにものづくりの人間。分かり合える部分が非常に多くありました。」

双方異なる拠点・領域での不思議なご縁…代表曰く「実は、その方へ依頼をする前に…受けていただけるかも決まっていなかったのですが、何も考えずに他の方全員に断りのご連絡を入れてしまい。これで断られたらどうしたものかと、一人背水の陣へ追い込んでしまっておりました。」

代表の気概も無事に伝わって何よりです…

「とても便利な時代になりましたね…と話していました。こんな時代でもなければ、仙台の造園家と関西の美術家とが出会えることなど、そうそうありませんからね。」

件の現代美術家は、主に写真を使用して制作されるとのこと。とはいえいわゆる「写真家」ではなく、自身が撮影した写真を印刷した後に上から描画を施すといった、一点物の美術品を作る方だそう。

「話をしていく中で、お互いの仕事道具についての話題になった時に’これだ’と感じました。私が大切にしている仕事道具の写真を元に、その方に作品を制作してもらおうと思いついたのです。」

代表は早速撮影に取り掛かりました。先代から引き継いだ刈込鋏と手鋏を並べ、黒い背景の元で鋏に光を当てます。

「刈込鋏は昭和42年、手鋏は昭和39年よりも前のものと年代物ですが、手入れのおかげで美しい状態を保っています。仕事柄’一番良い道具しか使わない’事を念頭に置いていますが、鋏はあらゆる道具の中でも物を作る上での原点のように感じています。撮影した写真を美術家に見せたところ、やはり強く同意してくれました。」

カラーよりも白黒になった方が鋏のシルエットがよりシャープで印象的になるといった点、また背景(余白)部分が多いと描画の際想像力が掻き立てられるといった点で、写真は決定されました。現在写真は美術家の手によって制作に入っているとのこと…どのような作品が仕上がるのか、代表も楽しみにしているようです。

「その方に依頼をするまでに数回オンラインツールにてお話させていただきましたが、話題も尽きることなくいつもあっという間に時間が経っています。仕事の事についてもそうですが、あらゆる共感の一つに、’タイミング’の事もございました。これは私自身感じる事があるのですが、我々は生まれてくる時に’いつ誰に出会うか決まっている’ように思うのです。とはいえタイミングが少しでも違ったり、伴わない何かが生じてしまえば、出会いは一瞬のものになってしまいます。」

恐らく、今回の「出会いと依頼」は代表にとっても美術家にとっても、新しい表現の可能性を実現するための重要なもののように感じます。「必然の偶然」が人生においてターニングポイントとなり得ることは、きっと皆様もお有りではないでしょうか。

さて「出会いと依頼」のお話、お楽しみいただけましたでしょうか。

また今後も様々な角度から「代表の想い」をお伝えできればと思います。