vol.52 倉庫改修
2022/8/30
皆様こんにちは。清水園でございます。 さて、2022年3月弊社で突然の火災が起きてから早5ヶ月が経過致しましたが、その後普及も順調に進んでおります。温かなお言葉とご配慮を下さった皆様に心よりお礼申し上げます。
本日お伝え致しますのは、現在仮倉庫として使用しております場所…「倉庫改修」を行った際のお話しでございます。
「実は倉庫での火災が発生する以前…今年の4月には倉庫の改修を予定していたのですが焼けてしまった為、新しい倉庫の入口のサンプルとして仮倉庫の入口を原寸大で作ろうかと大工と相談していました。建物自体の奥行きや高さは全く異なるものの、入口を実際に作ることで次の倉庫へのイメージも湧きやすいだろうと。」
現在‘仮倉庫’となった建物は代表の自宅隣にあり、お客様がお越しになった際も目に入る立地であることから、「将来的に改修の予定だった」との事。
「20〜30年前、元々蔵の裏にあった厠を改修した古い建物でした。今回仮倉庫にするにあたり、鍵付きの倉庫にしよう…という事で、以前からお世話になっている大工さんと左官屋さんにお願いした次第です。」
改修前の外観は、日本のゆかしい時代を思い出させるトタン屋根とモルタルの外壁が印象的です。
「以前は、外壁がモルタルの簡素な倉庫というのは数多くございました。土壁は雨風が当たると風化してしまいますから、モルタルを左官屋さんに以前仕上げていただきました。今回は、釘などが打てるよう下地と柱を立てたり、土間を足すなどより立派な外観になるよう仕上げて行きました。」
作業内容としては、大工さんが柱を立て始めたタイミングで作業の邪魔にならないよう、代表が柱を着色していき、また壁面に使用する杉板も同色の塗料を塗布しておくなどされたそう。効率よく共同作業で進行して参ります。
「今回、木材にはスギを使用しました。通常建物にはヒノキなど硬くて重い木を使うことが多いのですが…早く古くさせて味を出させたかったということもあり、柔らかく風化も早いスギを選んでおります。本来はどのような材質で直すか大工さんが決めるのですが、予算やその時のご縁に合わせて木材も選択していきます。」
新しく建設する倉庫では、その‘ご縁’から古材のヒノキとマツを使われるとの事…そちらもまた楽しみです。
「この頃は工業製品で大変素早く簡素に建物を建てることが出来る様になりました。しかしながら、その一方で職人が育たないのも現実問題です。今ではあまり使われなくなった言葉で‘普請(ふしん)’というものがございます。
建物の新築を指す言葉ですが…明治以降、オーダーメイドで大工さんと建物を作るというのが究極の贅沢でありステータスでもあった時代、まさに大工さんはじめ職人と顧客との共同作業だったのですね。
依頼があれば職人の技術も上がり、良いものができてくる…そういった好循環で美しい日本家屋は数多く存在しました。私個人としても、多少お金はかかるかもしれないけれど職人さんと協力して良いものを建てて残したい…という思いが強くございます。また、そう思いながら一つの建物を大工と対話しながら作るというのは、非常にやりがいがあり楽しいことです。」