vol.138 仙台門松土台
2026/3/9

皆様こんにちは。清水園でございます。
今回のコラムでは、普段あまり表に出ることのない「仙台門松土台」について、少し詳しくお話しさせていただきます。
門松の土台には、主に二つの種類があります。ひとつは、代表だけが作る全面に皮を巻いたタイプ。もうひとつは、三本足で構成された一般的なタイプの土台です。三本足の門松は、コンクリートの枡に乗せたり、稀に鉄板を使用したりしますが、どうしても全体に高さが出るため、倒れてしまうリスクがあります。
そこで「どうすれば一番倒れにくいか」を試行錯誤した結果、鉄板を使う現在の形にたどり着き、気づけば4年ほどが経ちました。この形は鉄板の上に土台が乗り重量的にも安定性が高いだけでなく、片付けやすいよう分解できる構造にしているのも特徴です。以前はすべて溶接して重量を持たせていましたが、重くなりすぎて持ち運べなくなるという欠点がありました。そこで現在は、鉄板を3枚重ねてねじ止めし、現地へは1枚ずつバラして運び、組み立てる方式にしています。
鉄板は新品を購入したり業者に注文すると費用がかさむため、中古の鉄板を加工して使用しています。色や形はさまざまですが、その中から状態の良いものを選んでいます。また、土台としての安定性を考えると、鉄板は正方形が最適なため、90センチ角や75センチ角を基準にしています。今回は三段重ねの土台を製作しました。カット後に溶接を行い、四隅に小さな穴を開けてボルトを差し込み、ナットで固定する構造です。
穴を開けたあと、すぐに鉄板を組み上げてしまうと下部が塗装できなくなるため、必ず一度バラの状態で塗装を行ってから組み立てます。塗装は表面だけでなく、裏側まで丁寧に行います。裏側は見えない部分ではありますが、門松はコンクリートや石の上に設置することが多く、無塗装のままだと雨水などで、錆の原因になり、片付けた後錆だけが現地にに残ってしまう可能性があります。それを防ぐため、必ず錆止め塗料を使用しています。以前、石の上に置いていた釘が錆び、釘の形がそのまま石に残ってしまったことがあり、それ以来、錆対策は特に徹底しています。
固定に使うカスガイ(釘)も、見た目を整えるために同じ塗料で黒く塗っています。ここまでやらなくても良いのかもしれませんが、一度気になり始めると細部まで目が行き届いてしまい、結果的に工程が少しずつ増えていきます。
現地での組み立て確認や、複数コナラの鬼打木との相性を確かめるため、事前に会社で仮組みを行いペアを作ります。柱となる木材は、まっすぐパイプに差し込めるよう、下部をチェンソーで加工します。また、土台が鉄板の上に綺麗に乗るように、45度から60度ほどの角度でカットしています。
集めた材料を一度すべて並べ、大・中・小のバランスや、左側(上座)を太めにするなど、デザイン面も考慮しながら最適な組み合わせを決めていきます。現地で混乱が起きないよう、仮組みの段階で番号を振り、組み合わせが一目で分かるようにしています。
なお、カスガイは現地でハンマーを使って完全に打ち込むため、会社での仮組みでは手で差し込める程度に留めています。
ウェスティンホテルに設置する門松については、ホテルの雰囲気に合わせ、あえて曲がったコナラの丸太を使用し、ノスタルジックな印象を出すために丸太を5本使いました。造園業では奇数を好むため、今回は五本足としましたが、前回使用した鉄板土台ではサイズが合わなくなり、土台を再加工することになりました。
設置が終わったあとは、皮を取った土台は薪ストーブ用の薪として再利用し、鉄板などの資材は解体して倉庫にしまいます。太い丸太は58センチと42センチに切り分け、皮だけを剥いで、来年の土台用として乾燥させます。そして、4月頃からまた次の年に向けた土台作りが始まります。
今回は、門松土台の準備について詳しくご紹介しました。門松というと、現地で竹や松を組み上げて完成させるイメージを持たれることが多いかと思いますが、実際にはその前段階で行う会社での下準備が、仕上がりや設置の早さを大きく左右しています。
倒れにくさを追求した土台の形、持ち運びや撤去までを見据えた構造、見えない部分まで気を配った塗装や錆対策、そして現地で迷わないための仮組みや番号付け。こうした一つひとつの工程は、どれか一つ欠けても成り立たず、すべてが揃って初めて、安心して門松を設置することができます。
また、使用した材料を無駄にせず、薪として再利用したり、来年の土台用として乾燥させて保管したりと、門松づくりは一年限りの作業ではなく、次の年へとつながる仕事でもあります。設置が終わった時点で一区切りではありますが、同時に次の門松づくりの準備が静かに始まっているとも言えます。門松は、新年を迎えるための大切な飾りであると同時に、私たちにとっては一年の仕事の積み重ねが形として現れるものでもあります。目に見える華やかさの裏側にある、地道な下準備や細かな工夫を大切にしながら、これからも安全で美しい門松づくりに取り組んでいきたいと思います。








