コラムColumn

vol.140 芝張り・飛石工

2026/4/6

皆様こんにちは。清水園でございます。
今回のコラムでは、とあるお家の芝生と飛石を張る作業をご依頼いただいた際の「芝張り・飛石工」について、少し詳しくお話しさせていただきます。

今回は、施主様と直接お打ち合わせをするのではなく、間に別の施工会社様が入る形での施工となりました。そのため、施主様のご要望は間接的に伺いながら進めることになりました。言葉としては伝わっていても、その背景にある思いや微妙なニュアンスまでは完全に把握できないこともあります。また、これまでのお庭の経緯や、どのような暮らしの中で使われてきた空間なのかが分からないまま作業を進めるのは、実は簡単なことではありません。完成後のイメージをどれだけ正確に共有できるか。その難しさを改めて感じる現場でした。

作業としては、既存のコンクリート部分はそのまま残し、それを活かしながら新たに土を盛って小さな山を造作し、その周りに飛石の道を設けていきました。平坦な空間に起伏を加えることで、庭に奥行きや表情が生まれます。ただし、土を盛る量や高さ、勾配の取り方ひとつで印象は大きく変わります。ほんの数センチの差が、景色全体のバランスを左右することもあるため、慎重な作業が求められます。

今回のお庭では人工芝は使用しておりませんが、近年、仙台でも人工芝のみを敷設するご家庭が増えてきました。人工芝は見た目の美しさや管理の手軽さといった利点がある一方で、品質によっては耐久性や安全性に差があります。特に近年問題視されているのが「マイクロプラスチック」です。人工芝は紫外線の影響を受けることで徐々に劣化し、微細なプラスチック片が発生する可能性があります。それを小さなお子様が吸い込んでしまうリスクが指摘されています。すぐに健康被害が出るというわけではないようですが、長い目で見たときにどのような影響があるのかは慎重に考える必要があります。自然素材と人工素材、それぞれの特性を理解したうえで選択することが大切だと感じています。

飛石の配置は、庭づくりの中でも特に神経を使う工程です。特にR(曲線)状に並べる場合、どの角度で曲げるのか、歩幅に合った距離はどのくらいか、そして玄関までの動線をどのように自然につなげるかといった点を細かく検討します。見た目の美しさだけでなく、実際に歩いたときの感覚も重要です。最終的には施主様のご意向により、飛石ではなく平石で直線的な配置となりましたが、曲線にするか直線にするかで庭の印象は大きく変わります。シンプルさの中にも意図があります。

庭に段差があったため、山砂の搬入は一輪車を使った手作業となりました。重い砂を何度も往復しながら運び、少しずつ形を整えていきます。機械では入れない場所も多く、地道な作業の積み重ねです。土は少ない方が管理しやすいのですが、山の形や高さについては施主様のイメージに合わせて削ったり足したりを繰り返しました。その過程で、当初の意向がどなたのものだったのか分からなくなることもあります。それでも、最終的に全体の調和が取れているかどうかを基準に判断していきます。

芝生を張る前の下地づくりは非常に重要です。土の締まり具合は特に繊細な調整が求められます。人が歩いたときに沈み込まない程度に固める必要がありますが、固めすぎると芝の根が伸びにくくなります。この“適度な硬さ”を作ることが、活着を左右します。砂や軽石を中間層に入れることで排水性を確保し、根張りの良い環境を整えます。見えない部分こそ、庭の土台となる大切な工程です。

芝生は水たまりができないよう勾配に注意しながら張ります。法面では崩れ落ちないよう目串をさし、下から順に作業を進めます。張った部分を踏まないよう養生しながら進めるため、効率よりも丁寧さが優先されます。清水園では、活着が早くカーブにも対応しやすい「ロール芝」を使用することが多いです。芝張りの基本は「目地合わせをしない」こと。そして外周から張り、端に小さな芝を使わないようにしています。小さな芝は剥がれやすく、形が崩れやすいためです。長く美しい状態を保つための小さな工夫です。

芝生は決して“張って終わり”ではありません。日当たりの良い場所では水やりが必要になり、踏圧の多い場所では傷みが出ます。一部が枯れてしまった場合、季節によっては修復が難しく、夏に枯れた場合は秋まで待つこともあります。隣からランナー(ほふく茎)が伸びて自然に回復することもありますが、肥料で促すか、新たに張り替えるかの判断が必要です。芝は生き物であり、時間とともに変化する存在です。

芝生の管理は非常に手間がかかるため、代表の自宅には一切張っていないそうです。また、特にゴルフのテレビ中継などで芝を叩き飛ばすプレーを見るのが苦手で、20年間ゴルフ場の会員権を持ちながら一度もプレーするどころかクラブすら持っていないとのこと。芝を扱う職人としての矜持なのかもしれません。

個人のお庭で、どこまでの美しさを求めるのか。その問いは常に付きまといます。ゴルフ場のグリーンのように完璧に整えた芝生の上で、お子さんがホッピングをして穴が空いてしまったという出来事もありました。そこまで整える必要があったのか。それは自己満足だったのではないか。そんな思いがよぎることもあります。それでも、お客様の暮らしの中に溶け込む庭を目指し、日々自問自答しながら業務に向き合っております。芝というのは、植物であり、景観であり、時間の経過そのものでもあります。
整えすぎることと、自然に委ねること。その間を探り続けるのが、庭づくりなのかもしれません。



着工前
完了
着工前
完了
飛石設置 作業状況
築山 作業状況
法面整地 作業状況
山砂搬入 作業状況
山砂搬入 作業状況
築山・芝張り 作業状況