vol.115 玉石積み直し
2024/12/23
皆様こんにちは。清水園でございます。
本日お伝えして参りますのは、’玉石積み直し’についての内容です。
玉石とは字の通り、角のない丸い石のことですが、通常、石積みをする際は、尖っている石や三角形の石の方が引っかかりがあり積みやすいです。そのため昔から玉石は庭の石積みには使いづらく不適切だと言われてきました。
今回のお庭は、施主様邸に元々積んであった石積みがボロボロと崩れてくるので直してほしい旨のご依頼をいただき、玉石を積み直した際のお話です。
石積みには使いづらいとされている玉石ですが、代表自身は、カーブがとりやすい玉石積みが好きだそうです。
元々の状態はただ置いてあっただけなので、雑然とした印象を受けますがこれを一度全てバラバラにし、並べ直していきます。元々あった石は全て使い、足りない部分は新しく足しました。玉石積みでも何の石積みでも、元々積んであった石をバラしても再利用できるところが良いところです。
当初、石積みの高さが足りないので足してほしいとのご要望があり、着手したところ、石を一つ外すと他の石もボロボロと外れてしまい、結局全て積み直すことになりました。石積みは、きちんと積まれていれば良いのですが、一つ外れると他の石もボロボロと取れてしまうので、注意が必要です。
また、石積みではなくコンクリート等で積まれている場合、色々な構造物を壊さなければできないことがありますが、石積みの場合には地形のままに積めるところが最も良い点だと感じます。さらに、水はけが良いのが特徴です。
石積みの一番のポイントは、石と石の間の土をいかに突き固めるかです。きちんと突き固めてなければ、土が流れてガクガクに崩れてしまいます。コンクリートを使うと、拭いたり、汚れたりつめたりするのが非常に手間で、その上、見た目も排水も悪くなり、強度も思った程は上がりません。強度を上げるには、石とコンクリートを交互に積み重ねる必要があり、中途半端なコンクリートの使用は単に水捌けが悪くなるだけで強度的には何の意味もなしません。
石積みは上からの重力と、地面からの土圧により、必ず真ん中に力がかかってきます。そのため、上からの重心が少しでもずれると、ポロッと前に落ちてしまいます。どの程度組み合わさって重力と摩擦で固定されているかが重要になってきます。噛み合わせがきちんとしていれば、何十年でも維持することが可能です。また、表面上はずれているように見えても、きちんと噛み合わさっている場合もあるので、見た目だけでは判断できません。代表ほど高度な石積み技術を持っていれば、石の形状は何も関係なく、しっかりと噛み合わさった石積みを作ることが可能です。
石積みは、美しさの前に崩れないことが最も重要ですが、美しさも重要です。ただし、石積みは自己満足の世界なので、どこまで美しさを追求してもきりがありません。「もっと良い石があればもっと良い石積みができた」という言葉がよく用いられますが、後から何を言っても意味がありません。どこまで美しさを追求するか、そのあたりの加減が難しいところです。仕事に限らず、日常生活においても物事の配分や加減というのは難しく、その人の性格や資質によっても変わってきます。はっきりとした正解がないからこそ、夢やロマンがあるのかもしれません。