vol.97 中庭垣根及び根上がり舗装補修
2024/4/15
皆様こんにちは。清水園でございます。
さて、本日お伝えして参りますのは「中庭垣根及び根上がり舗装補修」について。平成14年に最初に中庭を手がけた現場での、改修と補修の内容でございます。
「こちらは、天然竹を使用し製作された垣根が多い現場でございました。平成14年に手がけてから14年後…やはり屋外ですので、風雨や紫外線などの影響で竹垣も経年劣化がございます。また、後ほどお話しする‘根上がり’もございましたので、そちらも併せて補修させて頂きました。」
天然竹垣は、やはり天然の竹を使用している事もあって生きた香りや風合い、本物ならではの色合いや風情が特徴的です。一方で、やはり今回のように経年による劣化は免れることが出来ません…また、洗い出しの樹脂舗装の中に柱が埋まっている設計の為、作り直しの際に舗装を壊さないと柱を変えることが出来ないとの事。一度は天然竹で7年前に交換しましたが、今回は長い目で見て人工竹垣の方が良いだろうということで、全ての竹垣を人工竹垣に作り直すこととなったそうです。
「土台をコンクリートにし、塩ビの人工竹垣を作成しました。近くで見るとどうしても‘作り物’の印象は否めませんが、遠景や水場のような環境ではすっきりと綺麗に見えてくれる事もございます。これに関しては、環境や施主様のご意向に合わせて適宜ご提案して参ります。建仁寺垣根は柱を壊したところを最小限度で収められるよう、基礎を設置致しました。人工竹垣は針金ではなくドリル留めが基本ですので、‘竹垣の設置’とはいえ電動工具が活躍する現場です。」
敷地内30mもの長さの四ツ目垣根も人工竹垣に作り直します。こちらは通常よりも二倍太さのある胴縁の竹を使用されたとの事で、人工竹垣特有のわざとらしさや違和感は随分と軽減されている印象です。
「一方で…人工の竹ですからカーブのところは手間取りました。天然の竹と違いしなりませんから、間柱の間隔を狭めたり、またドリルで穴を開けたところから割れるリスクを軽減する為に3箇所穴を開けるところを1箇所に収めたり…他はなるべく針金留めで仕上げるなどして工夫致しました。中に鉄パイプを入れて補強してありますので、かなり頑丈に仕上がっております。」
落下防止柵に関しては人工のものだと落下防止に弱いとの事で、竹垣ではなくヒノキの柱(焼き丸太)とロープを設置。その後、先程お話にあった‘根上がり’の補修を行って参ります。
「根上がりというのは…舗装板・砕石との間の隙間に木の根が入り、地面に上がって来て舗装板を破壊してしまう状態の事を指します。最初は細い根なのですが、石の下を根が張り上下に太り育つと舗装板が割れるまでになってしまうのです。木の生命力に感心するものの、ここは根を切って補修していきます。」
補修範囲でカッターをかけて平らにし、掘った後に砕石を入れ、舗装板の厚み分低めに転圧して参ります。砕石の上に1〜2cmコンクリートを打った後、コンクリートに接着剤を塗り樹脂舗装して完了です。石積みも積み直され、すっきりとした印象になりました。
さて、このような竹垣が中心の現場だったのですが…代表は少々懸念していることがあるそうで。
「近年は下手をすれば技能士の試験以外で竹垣を作った事がない、という庭師の方も多くいらっしゃいます。作る・教える・覚える機会が減り、本物の竹垣を作る人がいないと本物を頼むお客様もいなくなるので…職人さんもいなくなり竹垣は存命の危機状態です。業界全体で、手間のかからない新しい垣根を開発する、もしくは職人一人一人の技術力を上げる努力・工夫をしなければならないと感じております。」
技術継承という面においても、竹垣の今後を見守りたい次第です。