vol.135 高木剪定
2026/1/21
皆様こんにちは。清水園でございます。
今回のコラムでは、普段あまり目にする機会の少ない「高木剪定」についてご報告いたします。
先日、約25メートルあるメタセコイヤ7本と5mのシラカシとユブシの剪定をご依頼いただきました。メタセコイヤは、空に向かってまっすぐ伸びる姿が美しい樹木で、並木道などでもよく見かける樹種です。秋には葉が赤銅色に染まり、季節の移ろいを感じさせてくれますが、その成長スピードは想像以上に早く、放っておくとどんどん大きくなってしまいます。
今回の現場では、7本のうち6本は高所作業車で剪定できたのですが、1本だけは車両が入らない位置にあり、どうしても木登りで作業するしかありませんでした。その樹木は20年以上もの間ほとんど手を入れられることなく、枝が四方八方に広がり、まさに「自然のまま」に成長していました。こうした長年手入れされていない木は、見た目こそ立派でも、風の通りが悪くなり、枝同士が干渉して弱ったり、折れたりしてしまう危険もあるため、定期的な剪定が欠かせません。
■ 高木剪定の基本
意外に思われるかもしれませんが、高木剪定というのは「難しい技術」ではなく、「理屈を理解すれば誰でも理にかなった形に整えられる」作業でもあります。
木の枝ぶりをよく観察すると、大きな三角形の中にいろいろな三角形が隠れている構造をしており、それを意識して枝を抜いていくと、全体のバランスが自然に整っていきます。これは、木が太陽の光を求めて枝を伸ばしていく中で自然に作り出す形で、剪定する際のひとつの道しるべとなるものです。木が持っている本来の形を壊さず、無理のないバランスで整えることが、木にとっても人にとっても最も心地よい仕上がりになります。
■ 作業を支える道具と工夫
以前、同じ敷地内で同じように高木剪定を行った際、剪定後の枝葉を処分するだけで2トンダンプ約30台分ものゴミが発生したことがありました。積み込み、運搬、下ろしと、一日中汗だくの重労働。作業そのものよりも片付けのほうが時間を取られるほどでした。
その経験を踏まえ、今回は「ヒヤブ車」という大型の集積車を呼ぶことにしました。これが非常に頼もしい存在で、枝葉を巨大なアームで掴み、一気にトラックへ積み込むことができます。ヒヤブ車を使うことで、ゴミ処理の時間を大幅に削減でき、その分剪定の作業に集中することができました。まさに現場の強力な助っ人です。
一般的に、植木屋の剪定といえば「はしごをかけて登る」というイメージがあるかもしれません。しかし、実際には高所作業車を使用することも多く、また、車両が入らない場所では「ツリークライミング(木登り剪定)」で対応することもあります。
ツリークライミングは、ただ登るだけではなく、ロープや安全帯を使いながら、自分の体重を枝や幹にロープで支えて木を傷つけないように登っていく技術です。風の強さ、枝のしなり、樹皮の感触などを全身で感じながら作業するため、自然との対話のような時間でもあります。今回のように25メートル級の木となると、登っているときの景色はまさに空の上です。
■ 剪定の流れとコツ
今回の剪定では、特に木の頭(トップ)を約6メートル落とすという大きな作業を行いました。頭を落とすことで全体のバランスを整え、風当たりを軽くし、今後の成長を安定させます。作業前後の写真を見比べると、これまで枝に遮られて見えなかった景色が一気に広がり、まるで風が通り抜けるような明るさを取り戻したのが分かります。
剪定の基本は「上から」行うのが一般的ですが、高木の場合は下から透かしていく必要があります。なぜなら、上から切ると落とした枝が他の枝に引っかかってしまい、作業が進まなくなるからです。
そのため、まずは下層部から太い枝を整理し、光と風の通り道を確保してから、上に向かって形を整えていきます。太い枝を落としていくうちに、自然と全体のシルエットが現れてくるのです。
1本1本の枝がすでに通常の木の太さほどあり、切り落とす際にはロープで吊り下ろしながらもう一本の引っ張るロープで慎重に枝を下ろしていきます。直接落とすと衝撃で地面を傷めたり、周囲の構造物を壊してしまう可能性があるためです。
特に、6メートルある頭の部分を切りつめて下ろすときは、ロープで方向をコントロールしながら引っ張って安全に倒しました。
大きな枝を抜いた後は、細かい部分の仕上げ剪定を行います。長い枝、短い枝のバランスを微調整しながら、木全体が自然な姿に見えるよう整えていきます。
■ ヒヤブ車での撤去作業
剪定が終わると、次に待っているのが大量の枝葉の片付けです。高木剪定では、見た目以上にゴミが出ます。今回も、地面いっぱいに枝が広がるほどの量でした。
ここで再び活躍するのが「ヒヤブ車」です。アームで枝を一掴みするだけで、2トン車1台分ほどの量を持ち上げてしまうほどの力があります。積み込みにかかる時間は約30分。人力で1日かかる作業が、わずか数十分で完了してしまうのです。
ちなみに、このひやぶ車1台で2トン車10〜15台分もの枝葉を積み込むことができます。広い敷地の現場であれば、人力で積み込むよりもはるかに効率的で、安全かつスピーディーに撤去が行えます。
高木剪定というのは、木が大きければ大きいほど、枝の処理にも時間と労力がかかります。剪定そのものの技術も大切ですが、いかに後処理を効率化できるかが現場の鍵でもあります。ヒヤブ車のような重機を活用できる環境であれば、迷わず導入する価値があります。
■ まとめ
今回の作業では、7本のメタセコイヤのうち、6本を高所作業車で、残り1本をツリークライミングで剪定しました。またシラカシとユブシに関しては、剪定後の写真を見ていただくと分かる通り、木の大きさ自体は変えていません。枝を透かして風通しを良くし、「木の形をそのままに、軽やかに仕上げた剪定」となっています。大きな木の手入れは決して簡単ではありませんが、丁寧に枝を見極め、木の呼吸を取り戻してあげると、まるで木が喜んでいるかのように見えます。
これからも清水園では、一本一本の木と向き合いながら、安全で確実な作業を心がけてまいります。


