vol.90 半纏
2024/1/30
皆様こんにちは。清水園でございます。
本日お伝えして参りますのは、「半纏」のお話。造園と半纏に関連があるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。今は少なくなってしまった‘風景’の一つ…かつて、庭師が「親方」と呼ばれていた時代に由来する風習なのです。
「実はこの度、清水園でも半纏を作成いたしました。会社には既存の半纏があったのですが屋号が染められたものでした。様々な行事ごとで半纏をお召しの同業者の方が多くいることもあり…また、仙台門松などのイベントがありますので、この度思い切って新調するに至った訳です。」
代表は半纏を制作されるにあたり、その歴史も色々と調べられたそうで。
「元々は、火消しの人達が各々の役割分担や組分けが分かるようにするために、数字や色別で半纏を着ていたそうです。字を読めない人もいらっしゃった時代…視覚的に識別できるようにするというのは知恵ですよね。それが後々、旦那衆が自邸に出入りする業者…鳶・大工・庭師・町内会長などに、出入り許可証として自身の半纏を作っていたそうです。」
そう、その時分鳶は「お頭」、大工は「棟梁」、庭師は「親方」と、親しみ尊ばれる呼称を持っていました。時代の流れと共に半纏をはじめそれら呼称も耳にすることが少なくなってしまいましたが…一度半纏を羽織った代表や社員の方々のお姿を見ていると、まるでその時代の空気が蘇るかのような印象です。
「半纏を作るにあたり、新潟にある染物屋さんにラフスケッチをお送りしアイディアを共有しました。仕上がったデザインは、襟元の‘清水園’は視認性を高く、背中の‘庭’と腰柄の角字は洒脱な印象に仕上げて頂きました。」
腰柄の角字は庭に必要な三つの材料が書かれているそう。漢字もデザインへ落とし込まれると印象が変わるので素敵なものです。
「仕上がった半纏は、去年の雪吊り・冬囲い・門松を制作する際に着用しました。やはり普段着慣れていないので…現場に入ってすぐはなんだか落ち着かない心持ちだったのですが、お客様はじめご覧になった方々から‘かっこいいね’とお褒めいただくことも多く、作って良かったと改めて思う次第です。」
今回代表が制作した半纏は素材から特にこだわられたそう。藍染の半纏で、実は水に濡らしたり直射日光に当てないようにしなければならないなど、制約があるそうです。
「イベントで着るには良いのですが、普段の作業時には少々繊細です…なので、現在普段使いが出来る染めで丈夫な物を別でオーダーしております。こちらも仕上がりが楽しみです。」
代表曰く、改めて半纏を制作したことにより「日本文化に携わる仕事をする上で、和装は大事な点の一つだと気づいた」との事。
「我々が半纏を着て作業をする姿というのは、遠目から見ても大変目立ちますし、それが一つの日本の原風景なのだとも感じました。この風景を後世にも伝えていきたい…若い方達にも‘半纏がかっこいい’と思ってもらいたいなと感じます。和装をはじめこの半纏を着る文化というものも、造園を通して浸透してもらえたら…そんな風に願っております。」