コラムColumn

vol.61 剪定・伐採

2022/12/20

皆様こんにちは。清水園でございます。

さて、前回「垣根工」についてお伝えして参りましたが、竹垣の製作はとても珍しいご依頼の一つ。本日お伝えするのは、庭の手入れの中でも数多く手掛ける内容の一つ…「剪定・伐採」にまつわるお話でございます。

打ち合わせ前、代表から予め資料を受け取り割り当てられたファイル名に目を通す中でふと目に止まった「剪定・伐採」の文字。造園のお仕事の中でも庭を一定のコンディションに保ち、また植物の育成計画には欠かせない内容ではあるものの、これまであまり多くを伺ってこなかったお仕事の一つでございました。

「お仕事の基本内容をご紹介するのかしら」と、気軽にファイルを開きお写真を拝見したが最後、筆者は思わず言葉を失うのでした…

お打ち合わせ当日、代表は開口一番「久しくこんなにひどい所はなかったので、思わず‘これは撮影しないと!’とカメラを構えたほどです。」と仰ったほど。

着工前・着工後の変わり映えが大きな現場はこれまでにも幾度か拝見して参りましたが、着工前における現場の草木の茂り具合は最早‘天晴れ’とさえ言いたくなる程、晴天を背景に高く豊かに生い茂っております。

「実は、こちら元々は私が植栽などを手がけたお客様ではなく…そのお隣様が私のお客様だったのです。ある日その方から‘隣のうちがあまりにもすごい状態なのでなんとかしてほしい’といったところ、庭師をご存じないとのことで私にお話が来た次第です。」

経路もまた特殊なご案件…代表曰く、「枝の伸び方からすると3〜4年は経っており、最初は空き家かと思った程」だったとの事。

樹木というのは、ある程度成長を遂げた段階で枝葉が繁茂し光合成が一気に行われるため、剪定を行わないと急激に伸びてしまうのだそう。剪定を行うことでその時の樹木の形を整えることはもちろん、葉を落とし光合成の量をコントロールすることで将来的に樹木が伸びる量や方向も調整することが出来るのです。

それにしても、隣家さえも見えなくなるほどの伸び具合…施主様もお困りだったのではないでしょうか。

「まさに、ここまでの状態ですと何をどうして良いか分からない、またどの樹木を残すか切るかも決められない…といったご状況でした。正直なところ、全てを伐採しても良いのですが…そうなると‘やはり残したい’ともなってしまいます。

これは断捨離に似た心理かもしれませんね。何かを思い切って捨てなければ、どんどんとものが増える一方でとても窮屈な生活になってしまいます。ここまで増えた樹木も、いっそ整理してあげた方が優しさのようにも思いました。」

剪定の前に伐採を行います。ヤマボウシ・サルスベリ・モミジ・コニファーが数本巨大化し、他にはサツキやツツジ、生垣のベニカナメは古くなり形が悪くなっていたのでほぼ伐採されたとのこと。

「これらの木は、中途半端に手を加えず奔放していたからこそ元の形に戻すことができました。しかしながら、1日でこれだけ景色が変わるのですから…‘庭師は詐欺師’とはよく言ったものです。」



着工前:時において久しく手入れしなかった庭はどうして言いか分からず途方に暮れる場合があります。
完了:剪定して小さくするのも手ですが、思い切って伐採と剪定を併用して手入れをすると かなりすっきりする場合があります。
着工前:かなり自由奔放に放任し 大きくなってしまいました。
完了:伐採と枝抜き及び剪定ですっきりしました。
着工前:隣家が見えなくなるほどに生い茂った庭ですがあきらめなくても大丈夫です。
完了:敷地内はきれいになりましたが、今度は隣家の樹木が気になるようになりました。
着工前
完了

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