vol.46 ステーションキャンパス モミジ移植・初回
2022/6/21
皆様こんにちは。清水園でございます。
これまでに幾度かお伝えして参りました「ステーションキャンパス モミジ移植」。
同じ敷地内で3回お引越しを繰り返してきた…とお話し致しましたが、本日はその初回の移植についてお話ししたいと存じます。
「平成18年のクリスマスあたりでしょうか…移植を冬に行うのはセオリーですが、年末の頃というのはやはり感慨深さを伴いますね。
サクラとモミジの移植なのですが、東北福祉大学ステーションキャンパス建設予定地に植えてあったものを敷地外に移植し、またその敷地内に戻す…といった内容の現場でした。」
移植の際には一度根切りをしておき、新しい根が出てきたタイミングで移植するとの事。
「太く長い根を切ることで、細く細かな根が出てきて移植には良いコンディションにすることが出来ます。他にも、‘環状剥皮’という‘根を生かしたまま皮を剥ぎそこから根を生やす’…といった方法もございます。」
元の樹形をなるべく保つように留意しながら、根巻きと仮植えを行います。
「1年間かけて駅を作るとの事だったので、その間の仮植え・お引越しです。仮植えの際、‘掘りやすいように植える’というのが大切なポイントとなって参ります。
1年後にはまた掘らなければなりませんので、普通の高さよりも気持ちばかり高く植えるように致します。」
穴を掘って植えるというよりも、地面に置いて上に土を盛るようなイメージ…との事。ですが、その方法ですと大量の土が必要になるのではありませんか?
「そうですね…この仮植えでは、10トン車10台分の土を使用しています。通常植えるよりも安定感がありませんから、致し方ありません。」
また、仮植えを行う場所は通常よりも湿度の高い環境だったとの事で…臍(幹の真下)の地面だけを少し掘り、根腐れを防ぐように仮植えを行われたとのこと。
「臍の部分に水が多少貯まることで、水の管理がしやすくなります。仮植えの他の方法では、倒れないように最初から斜めに植える…というものもございますね。
その分土の位置が高くなるため、土が必要になるのと掘り取りがしにくくなる…という点はあるものの、斜めですから吊りやすい方法ですね。」
1年後に掘り取りを行います。この際には、当初巻いていた麻紐は腐ってしまっているので、根巻きを再度行い、垂直に持ち上げてからトラックに積んでいきます。
「重心を変えてトラックの荷台に積むのですが、立っている木を寝かせるのはなかなか難しいものなのです。皮が剥けたり、倒れたりしないよう留意しながら…とはいえおっかなびっくりでもいけませんから、慎重かつ迅速に作業を進めて参ります。」
「一つだけ残念だったのは…指定された高さに植え付けた後に地面を50cm上げられてしまい、モミジはある意味生き埋め…弱るきっかけになってしまった事です。地面が上がるということは木にとっても大変な事。人の事情が色々あるものの、高さの変更はやめてもらいたかったですね。」
やはり植物は生き物。一つの判断で、その命が左右されることもある…現場を通し考えさせられます。