vol.16 泉区Y邸庭石撤去工事
2021/6/29
皆様こんにちは。清水園でございます。
本日は少々風変わりな案件のお話。代表曰く「本来であればお受けしないのですが…」との事。一体どのような現場だったのでしょうか。
「いわゆる’庭石撤去’のご依頼でした。ご自宅の前を駐車場にされたく、現在ある庭石を退けたいと。ですがその庭石があまりにも大きく…何社からも断られ続けた中で、弊社へお問い合わせ頂いた次第です。いつもですと新規のお客様はお受けするのが難しいのですが…社員教育も兼ねてお受けすることにしました。」
泉区Y邸の現場は、お家の前にいくつもの庭石が並んでいました。その中でも特筆すべきは一番奥に鎮座した庭石…草に覆われてはいるものの、草越しにもその大きさは伝わってまいります。
「石のかけた部分を埋め込むこともございますので、正直なところ、石を置いた本人でなければその石の正確な大きさは測りかねます。とはいえ、私が見た限りでも4トンはあるだろうと推測しました。
こういった現場では、まず機械で出せるか出せないかを判断します。物理的に敷地内に機械が入れるのかどうか…様々な状況や条件を考慮しましたが、この現場ではクレーンもユンボも入れることは出来ませんでした。」
そこで登場したのは、以前ステーションキャンパス・モミジ移植でも活躍した’チェーンブロック’。代表は、庭石をチェーンブロックで持ち上げコロ引きで移動させ、移動先で再度チェーンブロックで持ち上げ、ダンプカーに積み込む…といった方法をとることにしたそう。
「コロ引きを行うため、一度地面を掘りおこした穴を石の除去後に埋め平にしてから、コンパネを敷いてパイプを載せます。仮設とはいえ地面を平らにしておかないとコロが回らないので厄介です…また、若干内側勾配にしながらフェンスにぶつからないよう慎重に運びます。
地道な作業で、パイプを入れ替えながら20cm程度ずつ金テコで押し進めていきます。
だんだん上り坂になってきますので、そこからはチルホールで少しずつ引っ張っていきます。最終的にダンプカーに積むまでは、一瞬の気も抜くことは出来ません。」
なんと緊張感の伴う作業…機械を入れられないという時点で、’何社からも断られ続けた’ということに合点がいきます。
「こういった技術を持つ人が少なくなってしまったのも、ある意味機械化の弊害のように感じます。また、これはどのような現場でも言えることではありますが…’諦めるか・やるか’のいずれかです。
最終的に自身の信念と意志で決定しますが…経験は人を作りますから。’出来ない仕事は巡ってこない’と思い、難関だと感じる現場でも取り組んできました。この現場に立ち会った社員にとっても、いい経験になってくれていたらと思います。」
後日談ではございますが…この取り除かれた庭石、一旦会社で保管しており代表が「立ててみたら滝石に使えるなあ…」と考えていたところ、
他の造園会社から「立てる石を分けてほしい」と連絡が入りそちらへ渡ったとの事。
元々横だった石が縦になることは造園の世界ではよくあるそうですが、不思議なご縁もあるものです。