vol.84 緑化フェアまとめ
2023/11/7
皆様こんにちは。清水園でございます。
本日お伝えして参りますのは「緑化フェアまとめ」。以前当コラムでもご紹介しました「令和5年全国都市緑化フェア」におきまして、ご出展されていた皆様の作品を振り返りながら、庭の今後のあり方について代表からお話を伺おうと思います。
「全国都市で行われる地方博覧会の一つである‘緑化フェア’は、‘花と緑の祭典’とも言われ人々が自然・緑の豊かさを楽しみ大切さを認識する事が目的のイベントです。宮城県仙台市に全国の造園家たちが一堂に介し、53もの庭園がイベントの為に作成されました。私が設計を担当した仙台庭師会は‘伊達の伝統’というタイトルで、仙台門松と貝玉垣根を組み合わせ架空の仙台・日本邸宅の庭を制作しました。作品は銀賞を受賞しましたが、我々の他にも素晴らしい作品が多くございましたので、中でも印象深かった庭をぜひご紹介できればと思います。」
‘花と緑の祭典’と銘打たれていることもあり、やはり華やかで大胆な作品が目立ったようです。
「まずは、国土交通大臣賞の竜門園のお庭。圧倒的なスケールは遠方からでも目を惹きます。敷地内に積まれた石積みの高さは2m以上。そこから滝が二系統で流れており、東屋のようなところで滝を眺めるような設計になっております。実は私このお庭を拝見した際、私が尊敬してやまなかった御手洗さんのお庭を思い出した次第です。御手洗さんの作品にも、このように東屋から滝を眺めるお庭がございましたので…より印象に残っております。5×6mの敷地面積に、石積みと滝をこのスケールを納めているのには感心致しました。」
続いて、代表が「これは間違いなく金賞だろう」と確信したというお庭。公営機財団法人都市緑化機構 会長賞を受賞した、日本造園組合 青年部の‘環〜めぐる〜’という作品です。
「群馬県の造園家・稲田さんという方が設計されたお庭なのですが…なんと敷地内にトンネルが作られており、実際に出入りできるようになっています。トンネルを抜けるとお庭を眺める事ができ、庭の岩壁からは滝が流れる設計になっております。まるで体験型アトラクションのような設計、本当に5×6mに収まっているのか!?と思える程…敷地の外側から内側まで全て活用しきっている作品でした。」
まるで岩をくり抜いたようなトンネルは、発泡スチロールにコンクリートを貼って作られたそう。まさにアミューズメントパークで用いられる偽石と同じ作り方です。また、諸々の基礎・土台などは会場外部で予め作るなどして持ち込まれたとの事。工期だけでも二倍はかかっているそうです。
「全国の青年部の方達が一致団結しこの庭を作り上げたかと思うと…若いエネルギーや団結力の素晴らしさを感じずにはいられません。」
また代表は、この作品からこれからの庭のあり方についても気づきを得られたそうで。
「これからは広大な敷地に庭を作ることは出来なくても、工夫やアイディア次第で大胆な庭を作ることが出来るのだということです。新しい庭の可能性を感じさせる…進むべき道は自由だなと思わせてくれる、そんな作品でした。」
このように挑戦的なお庭から正統派のお庭、SDGsも踏まえてリサイクルを意識した庭まで…同じ‘花と緑’というテーマでも捉え方・表現の仕方は人によって様々。バラエティに富んだ庭の数々で、会場は賑わっていたようです。