コラムColumn

vol.64 泉区K邸植栽

2023/1/23

皆様こんにちは。清水園でございます。

この頃はようやく海外からも渡航される方々で街が賑わって参りました。日本は様々な国や文化から要素を取り入れ、独自の物を作り上げる事に長けた国・国民柄が特徴的ですが、やはり海の向こうから見える日本の魅力の一つは「純和風」な文化や建築。

日本国内にいるとその古き良き風情を見落としがちになってしまいますが、やはり誇れる物であることに違いなく、改めてその美しさに気付かされることも多くございます。

本日お伝えして参りますのは、そんな純和風を愛した「泉区K邸植栽」のお話でございます。

「施主様は元々私のお客様だったわけではなく、知り合い伝でご紹介をいただきました。と申しますのも…純和風建築を新築されてから7〜8年、どうしてもお庭の材料や樹木が洋風なのが気に入らないので庭師を探されていたとの事でした。

また、お庭には‘ダイスギ’を植えられたいとの事で、その要望・条件を叶えられる庭師でないと難しく、ダイスギを育てていた弊社に依頼が来たという訳なのです。」

ダイスギ…以前当コラムで「青葉区 Y邸植栽工事」の際にも少しお話をした事のございます樹木です。

ダイスギは元々屋根の垂木を作る為に栽培された樹木で、とても細く締まった幹が特徴的です。細く長く生育する為光合成を著しく制限され、葉のつき方も部分的にまとまっており、狭いところに植えても高さを出す事ができ、向こう側の景観が見えすぎず見えなさすぎない…群衆でも上品な印象を持たせる樹木です。

そのフォルムや存在感はまさに‘純和風’…とても人気な一方、希少価値も高く富の象徴であることも然りです。

「施主様が選ばれたダイスギは、弊社の育てていた中でも一番背の高く美しい…また最も高価なダイスギでした。

しかしながら、‘これがいい’との一点張り。そのこだわりには私自身とても共感できましたので、お庭にシンボルとして植えられていたアオハダと入れ替わりに、ダイスギを1本植えさせて頂きました。

他、板塀の前にあったベニカナメは庭を狭くする要因にもなっておりましたので撤去し、イロハモミジ・シラカシ・黒竹で目隠しをしながらもスッキリと…また施主様こだわりの‘純和風’を表現できるよう植栽を施して参りました。」

植栽前は背の低い樹木が中心だった為庭全体が狭い印象だったものの、背の高いアオハダやイロハモミジが建物の前に植えられることで視点が自然と上に、また程よいボリュームの中に爽やかさが感じられるように仕上がっています。

「服装や髪型で人の印象が変わるように、植栽が変わるだけで庭や建物の印象は大きく変化します。やはり建物に似合った植栽・庭があり、建物か庭どちらか一方が立派であってもいけません。調和とバランスが大切なのです。」

施主様のこだわりを代表が汲めたように、御二方にはそこはかとなく‘似た何か’があったご様子。その後施主様は毎年剪定もご依頼くださるようです。造園家とお客様との繋がりやバランスもまた、建物と庭のように相性があるのかも知れません。



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