コラムColumn

vol.42 駐車場石積み

2022/5/10

皆様こんにちは。清水園でございます。

本日は、東北福祉大学・駐車場増設に伴う石積みについて、現場のお話をお送りしたいと思います。

代表にお話を伺いながらコラムを執筆する以前までの筆者は、「施工」と聞くとコンクリートで作られたビルや道路など人工物・構造物…いわゆる無機質な物を扱う印象がほとんどでございました。

勿論、現場によってはそういったものも多くございますが、清水園での施工は石積みや移植…生きたものが常に同居し、もともと我々は自然と共にあることを思い出させてくれます。

そんな有機的な施工が印象的な弊社ではございますが、代表曰く、やはり現場によって最善の施工方法を提案・実施するとのこと。

「例えば、今回の現場ですとサクラの木は切らないように駐車場を増設して欲しい…というご依頼でした。今回石積みを採用したのは、石だとカーブを作りやすくまた水捌けも良いという点と、サクラの根へのダメージも最小限に抑える事が出来るという点からです。

もし、今回の現場でコンクリートを使うとなると…土を乗せる底盤が必要になります。土をたくさん出さなければならず、そもそも平らに掘る必要が出て参りますので根も切らなければなりません。石積みでも積みにくい現場ではありますが…ありがたいことに石積みは得意としておりますので、迷わず石積みでの施工をスタートさせました。」

サクラの根の近くは、根を傷つけないように石を置いているとのこと。周囲は地面に埋まっていますが、根の上に当たる部分は底が平らな石を置くだけになるように積んでいます。

「現場の駐車場は元々石置き場的に使用されており、今回使用した石もそこから運び出しました。ユンボで一旦地盤を出してから、自重で置いても問題ない石…いわゆる、下が平らな石を選んで置いていきます。」

今回は、崩れ積みの中でもかなりランダムな積み方だそう。確かに、訪れる人から見えるのは石積みの天端のみ…見た目の綺麗さ以上に土留としての役割を重視しながら積んでいきます。

「駐車場の面になるので、石はあまり下がらないようにすること。また、ハサミ石を無いように繋げなければなりません。駐車場ですから、万が一外れてはいけませんからね…なるべく大きな石で組むこともポイントの一つです。」

仕上がりは無事に、サクラも居心地が良さそうに駐車場が拡張されていますね。石積みの縁取りが印象的なアクセントになっております。

「石積みは観賞用であると同時に、土留の役割が大きい技法です。今回のように木の根の近くでも、積む技量があれば積めてしまいます。…造園屋と土木屋の違いはそこで、土木屋は木があっても…掘るなどして仕上げなければなりません。

一方で造園屋は木を守るためにどうすれば良いかを考えます。これは、私に限らず造園に関わるほとんどの方がそう考えているのでは無いかと思います。自然のものあっての我々の仕事。そういった生命を守ることを通じて、この地球に生かしてもらっていると日々、季節の移ろいを現場で感じています。」



関連ページ【駐車場石積み】