コラムColumn

vol.114 太白区 駐車場石積み

2024/12/9

皆様こんにちは。清水園でございます。

本日お伝えして参りますのは、’太白区 駐車場石積み’についての内容です。

今回の現場では、クレーンを使って、大体1m2,30cmほどの高さの駐車場の石積みを行いました。石積みはコンクリートと違って、あちらこちらから水が抜けていくので水捌けが非常に良いのが特徴の一つです。

代表の得意分野である石積みですが、今回も水糸や丁張りを使わずに行ったそうです。通常、水糸を張る作業は、石を水平に並べたり、全体の仕上がりを均一に保つための基準を作る大切な工程ですが、それを必要としないのは代表の高い技術力所以です。

一日目は、石を運び入れたり段取りがたくさんあったので、あまり進みませんでしたが、二日目になってくると段々と石が配置されているのが分かると思います。

クレーンを使っての石積みのポイントは、設置したい角度でワイヤーをかけ吊り上げれるか否かです。設置したい角度で、ストンと穴を掘った地面に置くことができれば良いですが、隣の石との絡みもあるのでそう簡単にはいきません。隣の石と当たってしまうため、きれいに設置できるように石を割らなければいけない場合もあります。

石積みを鑑賞する通行人は、少し離れた場所から見るので、石と石の隙間はあまり気になりません。しかし、石積みを行っている最中は、当然石の近くから見るので、後5cm、3cm、5mm寄せたいといったように隙間や配置が特に気になってしまいます。それをどこまで妥協できるのかが石積み完成のスピードに関わってきます。通常、5人程で作業を行いますが、石を割っていられるのは1人だけなので、その時間が長ければ長いほど、他の人員や機械が遊んでしまうことになります。そのロスをいかに無くすかが重要ですが、どうしても割らなければならない場合もあります。

写真をよく見ると、石に印を書いているのが分かると思いますが、石には最初から印をつけておきます。また、上に並べる天端の石も平らな石でなければ使えないので、最初から平らな天端用の石を分けておきます。今回の石積みに用いた石は、清水園から運び入れた、トラック10台分程の石です。このように、事前に石に印をつけたり、どこに配置する石かを見極め分けておいたりと事前の準備も重要になってきます。

ちなみに、今回の現場である駐車場は、ある造園会社の駐車場ですが、石積みは技術的に難しく、造園会社でもできない会社が多いので、今回清水園へご依頼をいただきました。石積みができる造園会社の数が少ないだけでなく、石積み自体の需要も減ってきています。

石積みは時間がかかるというイメージがあるかもしれませんが、石積みを行う人の技量でも大きく左右され、代表のように石積みを得意とする職人が行った場合にはコンクリートで施工する工期の3、4倍早くできてしまいます。天端をここまで綺麗に、水糸を張ったかのように並べることができる職人も中々いないそうです。

最近では石積みを行う機会は少なくなっているのに加えて、クレーンを使うような大きな石積みは、練習をすることも難しい状況です。

石積みに限ったことではありませんが、高度な技術があっても、その技術を使う機会が減っており、技術の継承が非常に困難になってきているように感じます。このような状況下でも、何とか次世代に技術を繋げ、素晴らしい伝統や文化が継承され続けることがA Iや新たな技術が常に生み出されている現代においても重要なのだと思います。