コラムColumn

vol.148 高木管理【後編】

2026/10/12



― 剪定時期と長期管理から考える、人と樹木が共存できる環境づくり ―

高木管理では、長い目で考え「どこを切るか」を判断することが非常に重要です。

一般的な剪定では、枝先だけを短く切って樹形を整える方法がよく行われます。しかし、高木の場合、それを繰り返すと、切り口から何本もの新しい枝が勢いよく伸びてしまいます。

その結果、翌年にはさらに枝が密集し、風通しや日当たりが悪くなるだけでなく、樹木の内部まで光が届かなくなります。また、混み合った枝は病害虫の発生原因にもなり、かえって管理が難しくなることがあります。

そのため清水園では、「枝抜き」と呼ばれる管理方法を基本としています。

枝抜きとは、不要になった太い枝を枝元から取り除き、枝の本数そのものを減らす方法です。

一見すると、木の大きさはほとんど変わっていないように見えるかもしれません。しかし、樹木の内部では大きく環境が改善されています。

光や風が樹木全体へ行き渡り、新しい枝へ自然に更新されることで、健康な状態を維持しやすくなるのです。

この方法は見た目の変化が少ないため、「あまり切っていないように見える」と思われることもあります。しかし実際には、大きな枝を根元から整理することで、木への負担を抑えながら、将来の管理まで考えた剪定を行っています。

枝先だけを切る剪定は、その場ではきれいに見えても、数年後には再び枝が大きく伸び、同じことの繰り返しになってしまいます。

一方、枝抜きによる管理は長期的に樹形を維持しやすく、結果として樹木にも人にも優しい管理方法なのです。

また、高木管理では、剪定を行う時期も非常に重要です。

一般的に落葉樹は、冬場の剪定が理想的とされています。葉が落ちて枝の状態を確認しやすいことに加え、樹木の活動が落ち着いているため、切り口から病原菌が侵入しにくく、木への負担も少なくなります。

一方、春から夏は樹液の流れが活発になるため、大きな枝を切ると樹液が流れ続け、傷口の保護剤が流れてしまうこともあります。

そのため、樹木の種類や季節、その年の気候などを考慮しながら、最適な剪定時期を判断しています。

さらに、高木管理では、人の都合だけで作業を進めることはできません。

お客様のご希望、安全性、そして樹木自身の健康状態。その三つのバランスを見極める必要があります。

今年の作業後に木が順調に回復すれば、翌年も計画どおり管理を進めます。しかし、樹勢が弱っているようであれば、無理に剪定を続けることはありません。木にも回復する時間が必要だからです。

私たちは常に、「木にとって今、何が最善なのか」という視点を大切にしています。

高木は何十年、時には百年以上生き続けるものもあります。その長い年月の中で、人の暮らしや周囲の環境は少しずつ変化していきます。

道路が広くなったり、建物が建ったり、電線が新しく設置されたりすることで、以前は問題のなかった枝が支障木となることもあります。

だからこそ、高木管理は「大きくなったから切る」のではなく、樹木と周囲の環境がこれからも共存できるように調整していく仕事なのです。

清水園では、一本一本の樹木と真剣に向き合い、その木の特徴や健康状態、周囲の環境を総合的に判断しながら、最適な管理をご提案しています。

大きくなりすぎて困っている木、電線や建物に近く他社で断られてしまった木、長年手入れができていない木など、状況はそれぞれ異なります。

しかし、どの現場でも私たちが大切にしているのは、「木の健康を守りながら、安全に作業する」という考え方です。

高木管理は、一度剪定して終わりではありません。

数年先、十数年先まで見据え、樹木の成長に合わせて適切な管理を続けることが、美しい景観と健康な樹木を守ることにつながります。

これからも清水園は、長年培ってきた経験と技術を活かし、お客様の大切な樹木を未来へつないでいくお手伝いをしてまいります。