コラムColumn

vol.148 高木管理【前編】

2026/9/25

― 電線が通る難しい現場で、樹木の健康と安全を守る高木剪定 ―

庭木は年月とともに大きく成長し、その家や庭の象徴となる存在です。春には花を咲かせ、夏には木陰をつくり、秋には紅葉を楽しませ、冬には力強い樹形を見せてくれます。

しかし、高木へと成長した樹木は、美しい景観をつくる一方で、道路や隣地への越境、建物への接触、さらには電線への干渉など、安全面や周辺環境への影響も大きくなります。

そのため、高木管理では「枝を切る」という作業だけではなく、樹木の健康、安全性、景観、そして将来の成長まで考えた管理が求められます。

今回ご依頼いただいたのは、高さ約15mまで成長した桜の木の管理でした。

現地を確認すると、道路側へ大きく枝が張り出し、さらに複数の電線が樹木の中を通る、非常に難易度の高い現場でした。

お客様にお話を伺うと、これまで複数の業者へ相談されたものの、「危険で対応できない」「難しい現場なので引き受けられない」と断られてしまったそうです。

それでも、お客様は「この桜は思い入れのある大切な木なので、できるだけ枯らさずに管理してほしい」という強いご希望をお持ちでした。

私たちが現場を見て最初に考えたことは、「一回ですべてを解決しようとしないこと」です。

高木を一気に小さくしてしまえば、道路への張り出しはすぐに解消できます。しかし、それは必ずしも樹木にとって良い管理とは言えません。

樹木は葉で光合成を行い、自らの成長に必要なエネルギーをつくっています。その葉を一度に大量に失うと、木は大きなダメージを受けます。また、大きな切り口が増えることで菌が入りやすくなり、将来的に幹の腐れや枝枯れを引き起こす原因にもなります。

そこで今回は、道路へ張り出した枝を中心に整理し、内部の枝や樹木に必要な枝はできる限り残す方法で剪定しました。

そして、一度で完成を目指すのではなく、数年かけて少しずつ樹形を整えていく管理計画をご提案しました。

高木管理では、「心配ごとをすべて解消すること」よりも、「10年後も健康な木であること」を優先することが大切だと、私たちは考えています。

今回の現場では、高所作業車だけでは対応できない場所も数多くありました。

枝と枝の間には複数の電線が通っており、作業車から無理に切れば、切った枝が電線へ落ちる危険があります。そのため、高所作業車とツリークライミングを組み合わせた作業を行いました。

ロープを使って木へ登り、枝を一本ずつロープで支えながら慎重に切り下ろしていくことで、電線への接触や枝の落下を防ぎ、安全を確保しながら作業を進めました。

高木の剪定では、目の前の問題を解決する技術だけでなく、木の将来を見据えた判断が欠かせません。

後編では、清水園が基本としている「枝抜き」という剪定方法や、木への負担を抑える剪定時期、数年先まで見据えた高木管理の考え方についてご紹介します。

着工前
完了
作業状況
作業状況
完了
作業状況
作業状況
着工前
作業状況
作業状況