コラムColumn

vol.110 日本庭園管理士補講習会

2024/10/14

皆様こんにちは。清⽔園でございます。

本⽇お伝えして参りますのは、ʼ⽇本庭園⼠補講習会ʼについての内容です。

⽇本庭園⼠については以前のコラムでも紹介しましたが、国内外を問わず、後世に技術を伝承し、⽇本庭園の作庭・管理・修復や改修の技術を持つ⽅を育てていくという⽬的もあり設けられた制度です。そして、⽇本庭園⼠補は、⽇本庭園⼠になる前段階の資格であり、会社100社に対して1⼈が推薦され受験資格がもらえるという難関資格です。

そして、今年ついに第1期⽣の⽇本庭園⼠が12名輩出されました。上記の通り受験者は選りすぐりの精鋭たちなのですが、受ければ誰でも受かるような試験ではなく、現状は40名が受験して12名しか合格できない厳しい結果でした。

⽇本庭園⼠補から⽇本庭園⼠になるための試験を受けるには条件があり、⽇本庭園⼠補になった時点で経験年数が30年以上ある場合には受験資格があります。⼀⽅、⽇本庭園⼠補になった時点で経験年数が30年に⾄らない場合には、⽇本庭園⼠補の資格保有年数である10年以内に今回の講習会等を受講し、別途単位を取得する必要があります。代表が令和元年に⽇本庭園⼠補に合格された際には、経験年数が27年でしたので、現在は⽇本庭園⼠の受験資格を得るため、単位を取得中ですが、近畿地⽅など仙台から遠く離れた場所で開催されることが多く、また、多忙な時期と重なったり受講するのが中々⼤変です。

さて、講習会の内容に⼊っていきますが、今回の講習内容は「張り⽯」と「洗い出し」でした。3⼈の講師と全国各地から集まった精鋭たちがA班とB班に分かれて2⽇間、作業をしていきます。⼀緒に講習を受けているメンバーは全国から集まった精鋭たちで、顔⾒知りも少なくないとはいえ、普段会社で⾒慣れた仲間と作業をするのとは違い、意思の疎通や役割分担を決めるのが⼤変です。

張り⽯は、⽯を並べていく作業なのですが、⾼さを合わせるためにモルタルを⽤います。普段は、⽯と⽯の隙間を1〜2cm程度で並べていくことが多いのですが、”洗い出し”となると、⽯と⽯の間の隙間を5cm程度開けておかなければ洗い出しの⽯が⼊らなくなってしまいます。

今回のポイントとしては、写真で分かるように、張り⽯の⼿前と奥に⼤きな⽯が配置され、右側に⽯が2つふられていますが、これが最終的に洗い出しの天板になるので、⾼さを間違えると洗い出しで⽯が埋まってしまいます。洗い出しというのは、砂利とセメントを混ぜて流し込み、セメントが乾く前に表⾯を洗い流し、砂利の頭部分のみを露出させる⽅法です。通常は、遅延材を⽤いて翌⽇に洗うのですが、今回の講習では⽔の分量を限りなく低くして当⽇に洗う⼯法でした。元は、このやり⽅が⼀般的でしたが、どうしてもコンクリートの強度、仕上がりや施⼯性を考えると遅延材を⽤いたやり⽅が現在では⼀般的になっています。

⽯を割るたんきりという道具があるのですが、たん切りは売られているままの状態では使いづらいので、購⼊後はたん切りの先端をサンダーで削ってから使うようにとの教えを受けました。

洗い出しの作業では、コンクリートの中で砂利⽯が横を向いていると、⼩さな⽯のためポロッと外れてしまうことがあるので、縦に⽴って頭が出ている状態が理想です。そのため、コンクリートの中の⽯の形まで想像しながら塗り付ける必要があります。また、強度を出すために⽔:セメント⽐をできるだけ施⼯できる最低限の⽔の分量で作業した⽅が強度は上がります。ただし、すぐに乾いてしまうのと、塗り材がとても硬いので施⼯は⾮常にしづらいです。ある程度形ができてきたら最終的な仕上げとして、洗い出しローラーを⽤い、コンクリートの中で⽯を綺麗に並べていきます。代表⾃⾝、この道具を初めて使い感動し、会社に帰った翌⽇には購⼊したほどです。

そして洗い出し前のセメントの塗り付け作業が終わったので、乾かしている間に次回講習会に向けて、チェーンブロックを使⽤し滝⽯の組み換え及び提出課題レポートについての説明を受けました。

次回の⽇本庭園⼠補講習会についても、今後のコラムで紹介したいと思いますので、引き続き清⽔園のコラムをよろしくお願い致します。



張り石仮並べ
洗い出し塗り付け
洗い出し塗り付け
洗い出し
仕上がり
仕上がり
次回石組課題説明
仕上がり
次回石組課題説明
たんきり使い方


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vol.98 ⽇本庭園⼠補講習会