コラムColumn

vol.149 新規のお客様の剪定【前編】

2026/10/26

[木の本来の美しさを引き出す、清水園の剪定]

清水園には毎年、新規のお客様から剪定のご相談をいただきます。しかし、すべてのご依頼をお受けしているわけではありません。長年お付き合いのあるお客様を大切にしていることはもちろんですが、新規のお客様についても「私たちの考え方や価値観に共感していただけるか」「本当にお役に立てる仕事なのか」を大切にしながら、一件一件ご縁をいただいています。

今回ご紹介するのは、これまで別の植木屋さんが管理されていたお庭です。長年同じような剪定が繰り返されてきたことで、樹木全体に細かな枝が密集し、本来の樹形が見えにくくなっていました。毎年剪定をしているにもかかわらず、年々枝が込み合い、庭全体が重たい印象になってしまうことは決して珍しいことではありません。

一般的な剪定では、伸びた枝先を刈り込みで毎年切り戻して形を整える方法やトリマーという機械で刈り込むやり方が多く行われています。しかし、この方法を繰り返すと、切り口から新しい枝が何本も発生し、それがさらに密集し、だんだん大きくなる原因になります。結果として、樹木の内部まで光や風が届かなくなり、枝葉が絡み合った「もしゃもしゃ」とした状態になってしまい表面にだけ葉が付いている状態になります。

清水園では、まずその状態を改善することから始めます。大切なのは、枝先を切りそろえることではありません。不要な枝を根元から抜き、木の骨格を見せることです。私たちはこの作業を「枝抜き」もしくは「解作」と呼んでいます。

今回のお庭でも、高さを大きく変えることはしていません。実際に施工前と施工後を比べても、木の高さやシルエットはほとんど変わっていません。しかし、枝数を適切に整理し少なくしたことで、今まで見えなかった車庫や庭の奥まで視線が抜けるようになり、庭全体に広がりや奥行きが生まれました。

剪定は「木を小さくする作業」ではなく、「景色をつくる作業」でもあります。

例えば、人が立ったときに庭の奥まで視線が自然に抜けるようにすることや、玄関へ向かうアプローチが明るく見えるようにすることも、剪定によって実現できます。同じ本数の木が植えられていても、枝の配置や光の入り方によって、庭の印象は驚くほど変わります。

また、新規のお客様の剪定では、今までの管理方法を一度リセットすることも大切になります。

長年同じ剪定を続けていると、良くも悪くもその植木屋さん独自の「癖」が樹木にも現れます。同じ場所で何度も枝を切り戻した跡が残っていたり、一か所から何本もの枝が発生していたりするため、そのままでは理想的な樹形へ戻すことが難しい場合があります。

そのため、清水園では一度不要な枝を思い切って整理し、新しい枝へ更新できるように剪定を行います。もちろん、一度に大きく切るわけではありません。樹木への負担を考えながら、数年かけて少しずつ本来の姿へ導いていきます。

新規のお客様のお庭では、「一回で劇的に変える」ことを目的にはしていません。

むしろ、一回目の剪定は土台づくりです。木それぞれの役割や生育状況を確認しながら、どの枝を将来残し、どの枝を更新していくのかを考えます。そのため、施工後の写真を見ると「少しすっきりした」という印象に感じられることもあります。しかし、実際には翌年、さらにその次の年へとつながる重要な剪定になっています。



着工前
完了
着工前
完了
着工前
完了
着工前
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