コラムColumn

vol.136 本校座禅堂前アカマツ伐採

2026/2/9

皆様こんにちは。清水園でございます。
今回のコラムでは、普段あまり目にする機会の少ない「本校座禅堂前アカマツ伐採」についてご報告いたします。

今回伐採したアカマツは、もともと斜めに生育しており、倒木を防ぐためのワイヤー2本の補強を施していました。しかし近年、木が揺れた際に幹にヒビが入ってしまいました。木には本来、自己修復の力が備わっていますが、それを上回る速さで亀裂が広がっていたようです。このまま放置すると建物に倒れかかる危険性があったため、残念ではありますが伐採を行う判断に至りました。

樹齢100年を超える木は「御神木」と代表は呼んでいますが、その伐採に際し一般的には神主さんによるご祈祷を受けます。今回伐採した木は樹齢約300年とみられ、長い年月この地を見守ってきた存在でしたので、伐採前に学長自ら法要を執り行っていただきました。お経が読み上げられた後には、関係者全員でお線香をあげ、「長い間お疲れ様でした」という思いを込めて手を合わせました。厳かな雰囲気に包まれる中、代表も初めての経験だったこともあり、大変心を動かされたようです。

伐採作業にあたっては、木が途中で折れてしまわないよう、4本のワイヤーとロープで幹をしっかり補強し、さらに切断時に根元が折れるのを防ぐため、複数の補強を追加したうえで慎重に作業が進められました。

まず行ったのは、上部の枝を少しずつ切り落とす「枝落とし」です。一度に切ると衝撃が大きく危険なため、細心の注意が必要となります。また、現場には重機が入れなかったので、伐採作業のほとんどを人力で行わなければなりませんでした。切り出した木材はロープでゆっくりと吊り下ろし、人力でダンプへ運搬します。

人力での伐採は、「木に登って切る」だけではありません。倒れないように養生すること、補強を重ねることなど、事前準備こそが最も重要です。そのため当日までに2度現場へ入り、ロープの設置などの下準備を行っていました。

枝を上で切っていると量の実感は薄いのですが、実際に地面へ落ちた木材を見ると、想像以上の量に圧倒されます。また、真下に落としてしまうと下層の木々に引っかかり、作業が進まなくなってしまうため、何もない方向へ誘導しながら枝を落とす必要があります。樹齢300年の大木ともなれば、一本の枝であっても通常の木と同等の太さと重さがあり、大変な作業となりました。

続いて、落とした大量の木材を運搬できるよう、一定の長さに切り分ける「玉切り」を行い、搬出作業に移ります。ダンプまでの小運搬は、自動販売機などを運ぶ際に使用するパレットリフトを用い、木材を乗せて運搬し、最後にクレーンで吊り上げてダンプへ積み込みました。最終的な総重量は約6トンにのぼりました。

伐採後に断面を確認すると、木の内部は大きく空洞化しており、やはり危険な状態であったことが明らかになりました。

こうした大規模な伐採を経験する機会は多くありませんので、今回の作業は私たちにとって非常に貴重で、学びの多い体験となりました。事前準備から伐採当日に至るまで、一つひとつの工程を慎重に積み重ねる中で、改めて自然の大きさと向き合い、木と対話するような感覚を覚えました。特に、樹齢300年という長い年月を生き抜いた大木には、ただそこに立っているだけで圧倒されるような存在感があり、その歴史に触れることで、作業に携わった全員が自然と身の引き締まる思いを抱いていたように思います。

しかしながら、長年大切に見守ってきた木が枯れ、ついに伐採というかたちで役目を終えてしまったことは、大変寂しいものがありました。季節ごとに変化する景観の中で、常に静かに佇み、訪れる人々を迎えてくれていたこの木がなくなることは、そこにあった時間や思い出の一部が欠けてしまうような感慨を伴います。施設にとっても、また地域の方々や日々この場所を訪れる皆様にとっても、大きな節目となる出来事でした。

それでも、今回の伐採作業を通じて、作業員はもちろん、誰ひとり怪我をすることなく無事に終えることができたことは、何よりほっとしました。伐採現場は高所作業や重量物の運搬など、多くの危険を伴います。そのため、安全確認を徹底し、関係者全員が細心の注意を払いながら作業にあたりました。結果として、関わったすべての人の安全が守られたことは、準備の大切さと安全意識の積み重ねが実を結んだ証でもあります。長い歴史を閉じた大木への敬意とともに、人の安全が確保されたことの重みを改めて感じる出来事となりました。