コラムColumn

vol.119 令和6年仙台門松【前編】

2025/2/17



皆様こんにちは。清水園でございます。

本日お伝えして参りますのは、’令和6年仙台門松’についての内容です。

今回は、前編・後編にてお送りいたします。

仙台門松の制作も今年で6年目を迎えます。一から制作している会社は4、5社程度おり、徐々に増えてはおりますが、資材を購入して組み立てている会社が多いのが現状です。

代表は今年、門松の制作それぞれに個別のテーマを設定して制作しました。

仙台うみの杜水族館では、門松をエントランスゲートに設置するため、「すっきりのびやかに」をテーマに制作しました。門松に使用する松には、枝葉の層の重なりによって三階松、五階松、七階松、九階松といった種類があります。代表は通常、五階松か七階松を用いて制作しますが、どの松を使うかによって門松の格が異なります。当然、層が多い七階松、九階松になるほど格が高いですが、その分、松を探すのも大変になります。五階以上の松は松林に数本しかいないので、毎年かっこいい松を探すのに苦労します。その上、今回の調達時は猛吹雪の中の作業でびしょ濡れになりながら、手も体も冷たく、さすがの代表も心が折れそうな環境での調達だったそうです。

松を調達する際は、山に登って10mほどの松を4m〜5mに切って持って帰るのですが、4m〜5mに切った状態で五階以上の松であることが求められるため、なかなか大変です。

他の職人の中には、ここまでこだわらず制作する人もいますが、代表は材料調達の段階から徹底して良い松を求めて奮闘しています。今回は古くて細い、目のつまった良い松を見つけることができたそうです。

造園業の特殊さでもありますが、材料の多くが自然物なので、その時々の状況やお客さんの要望によって必要な材料が変わってきます。造園家としての経験値、工費、その他さまざまな要素が折り重なる中で、材料にどこまでこだわるかの判断は何よりも難しいものだと感じます。

ウェスティンホテルでは、正面入口に門松を設置しました。通用口や屋根の位置を考慮し、右側の松を4mから3m50cmに切って用いることになりました。また、今回は従来と異なる手法を採用し、かすがいの上に冬囲いのわら巻きを施しました。仙台市役所の門松では、「圧倒的な存在感」をテーマに制作しました。七階松と九階松を使用し、昨年よりも背が高い門松に仕上げました。土台には直径40cmほどの丸太を用いており、通常の倍ほどの太さとなっています。九階松ほどになると、大手門などに飾られる格の高い松で、非常に希少です。

次回は、とても苦労した仙台門松の松の調達のお話からお送りしたいと思います。後編をお待ちくださいませ。